京都市N邸

またまたご無沙汰しております。
先だって、当事務所で設計監理を担当しておりましたN邸が竣工致しましたのでご紹介します。
敷地は静かな住宅街の中にあり、北側で接道していて東西南には2〜3階建ての隣家が建ち迫っています。
「限られた条件の中で、小さな家族のための家を。」というのが施主のリクエストでした。



そして出来上がったのがこの建築面積53m2程の小さな住宅です。木造半二階建で、軒高も隣家と比べると大分低くなっています。

北側ファサードの4つの窓
下側の掃出し窓には室内側に半透明のスクリーン扉を設置し外部からの視線を遮っています。
室内からは上側fix窓通して、北側前面道路向こうの住宅の上に広がる空が大きく見えます。






外観の小ささとは対照的な大きく広々とした内部空間
リビング・ダイニング・キッチンの一室空間全体が吹き抜けています。





南側は隣家が境界際まで迫っていたので、高い位置に四連の内倒し窓を設定し、採光・通風を確保しました。

窓からの太陽の光が時間と共に壁面、天井面と順番に照らしていき、その反射光が室内に広がります。
(外部庇によって真夏は室内に直射日光が入らないようになっています。)





施主家族が共有で使うスタディスペース
デスクと壁面の本棚はそれぞれ7m程あります。
スタディスペース下の1階には寝室・バストイレユーティリティが納まっています。




1.コンパクトな躯体の中にできるだけ大きな家族の生活空間をとること。
2.自然採光、自然換気を最大限利用して快適に過ごせるようにすること。
この2点がこの住宅を作っていく際の最も重要なテーマでした。

広い内部空間を実現するために、構造壁をできるだけ外壁側に押しやり剛性の高い大屋根でそれらの外壁を繋ぐという構成になっています。
また、快適な室内環境にとって重要な断熱に関しては、ロックウール(屋根、床のみスタイロフォーム)による通気工法内断熱を採用しました。
我々にとっても初めての、大きな居住空間(最大天井高約4.5m)であっため、エアコンや温水式床暖房には余裕を見た性能の物を採用しているのですが、先月からこの住宅で暮らし始めた施主より、空調なしでも快適に過ごしているとのご連絡を頂いてほっと胸を撫で下ろしています。


施主のまだ小さなお子様が、ここで日々を過ごし成長して行かれるのと共に、この家もよい時間を刻んで行って欲しいと思います。

expo 武田
http://www.expomade.com
photo:豊浦英明(上4枚)、一級建築士事務所expo(下1枚)